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チームの関係性の質は成果を高める?リスクを避けて成果に繋げるために
「チームの関係性が良いと成果も上がる」と言われますが、本当でしょうか?
結論から言うと、関係性の質(集団凝集性)はパフォーマンスと関連します。ただし、場合によっては盲目さを高めてリスクにもなり得ることも。
これを踏まえると、チームづくりにおいては関係性の質を高めることも重要ですが、意図的に「違い」を歓迎するような設計も重要です。
【この記事で分かること】
そもそも「関係性の質」とは何か?
関係性の質は一言で言えば「絆」ですが、研究の世界ではメンバー間の絆が「集団凝集性」という言葉で取り扱われています。集団凝集性は、メンバー同士の親密さ、チームという存在への誇り、そして目的や目標へのコミットといった要 素から構成されるものとされます。
関係性の質は成果に関わるのか?
関係性の質を指す「集団凝集性」と成果の関係は、長年に渡って研究が続けられてきました。Beal et al. (2003) の分析などでは、凝集性と成果には一定の関係があることが示されています。
凝集性と成果との関連が強いのは、相互依存が高い(協働が必要な)ワークフローのときです。個人プレイ中心だと凝集性の恩恵は小さい可能性が示唆されています。
ただし、「関係が良いから成果が出る」のか?「成果が出たから関係が良い」のか?という因果の方向性については様々な議論が存在します。
因果は双方向だが、「関係が良いから成果が高まる」方が強い?
もちろん感覚的にも「関係→成果」と「成果→関係」は双方向的に影響がありそうです。しかし、どちらがより強いのか、つまり「成果のために関係を高めることに意義があるのかどうか」という点は議論が続けられてきました。
諸説ある中でひとつ興味深い研究としては、Mathieu et al. (2015) によるシミュレーションを用いた関係性と成果との時系列的な計測です。そこでは次のような示唆が得られたと報告されています。
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凝集性(関係性の質)と成果は双方向的に影響し合っている。
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凝集性(関係性の質)から成果に影響する方が強い。
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凝集性(関係性の質)から成果への影響は、時間とともに強くなる。(チームが育つほど影響が大きくなる)
ここからの実務的な含意はシンプルです。
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チームづくりをすることで成果を高めることもできる。
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速やかに成果を上げることでチームづくりをすることもできる。
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どちらのアプローチも排他的ではなく効果がある。
つまり、関係性の質を高めるようなチームづくりへの投資にも、一定の効果があると考えられます。
関係性の質がリスクに変わるとき
もちろん「関係性の質」について取り扱う際も、条件によってはリスクが存在します。
Mathieu et al. (2015) はシミュレーションの中で、成果が上がらない時期にチームが失敗を嘆き、悪者を探してスケープゴート的行動を取ることが負のスパイラルを発生させている可能性について言及しています。
また高すぎる関係性の質(凝集性)は一般的に、異論や懸念の自己検閲による質の低い意思決定につながる場合もあるとされています。これはグループシンク(集団浅慮)と呼ばれ、同質性が高い集団の持つリスクでもあります。
では何をすればいい?関係性の質を成果に繋げる介入の方向性
ここまでの議論から、関係性の質(凝集性)を高めることには一定の意義がある一方で、それが行き過ぎると「盲目さ」や「同調圧力」から意思決定の質を下げるリスクがあることが分かります。
つまり、関係性の質を高める要素を含めると同時に、“違い”を歓迎するような環境を構築することが有効と言えるでしょう。
「仲が良い」だけで終わらせず、関係性を“仕事”に接続する
凝集性は「親密さ」だけでなく「目的・目標へのコミット」も含みます。ここを押さえることで、関係性の議論が“表面的な仲の良さの表現”に流れにくくなります。
例えば、チームで対話などを通じながら、次の3点を定期的に揃えることが考えられます。
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私たちの目的は何か(何を成果とみなすか)
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そのために、何を優先するのか
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そのために、私はどんな役割を担うのか
このような仕事の軸も意外とズレやすく、意図的に整えることで協働関係の構築も容易になります。
「違い」を歓迎する設計:異論・懸念が出る仕組みをつくる
凝集性がリスクに変わる典型は、異論や懸念が自己検閲され、グループシンク(集団浅慮)が起きる状態でした。これを避けるには、個人の勇気に頼るのではなく、異論が出ることが自然になる仕組みをチームの運用に組み込みます。
例えば、会議や意思決定の場で「必ず反対意見を言う役割の人(悪魔の代弁者)」を設置するということや、「反対意見の取り扱い方」について事前に対話し合意するということが考えられます。
ここで重要なのは、異論を増やすこと自体が目的ではなく、意思決定の質を上げるために“違い”を使うということです。違いという摩擦を協力者に変えて活用するという前提の捉え方が重要です。
うまくいかない時期の“負のスパイラル”に手当てする
成果が上がらない時期ほど、チームは「誰が悪いか」に引っ張られやすくなります。悪者を探しても問題が解決するどころか、チームの信頼感を低下させてますます成果が上がりにくくなります。
そこで重要なのは、失敗時に個人を裁くのではなく、前提・プロセス・相互作用を検証するリフレクションの機会を持つことです。率直な個人の葛藤を共有することや、「何がそうさせたか」といった構造への視点を共有することで、「次に何を小さく変えるか(実験)」を扱い失敗の経験を学習へ転換することを図ります。
まとめ:関係性の質は成果を高める力になる
チームの関係性の質(凝集性)は成果に関わります。しかし、それは「仲良しであれば成果が出る」という単純な話ではありません。グループシンク(集団浅慮)やスケープゴート行動によって、むしろ意思決定の質や成果が下がるリスクもあります。
だからこそ目指すべきは、チームが「違い」を歓迎しながら、目的を共有してお互い信頼し助け合い、意思決定と行動の質が上がる環境をつくることです。それにより、関係性の質はチームの成果を高める力となるでしょう。
関係性への介入を“スポットの場づくり”で終わらせず、日々の意思決定や行動に定着させるための全体像は、
「組織開発(OD)とは何か?成果が出る進め方と落とし穴」で整理しています。
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参考文献
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Beal et al. 2003. “Cohesion and Performance in Groups: A Meta-Analytic Clarification of Construct Relations.” Journal of Applied Psychology December 200388(6): 989-1004.
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Mathieu et al. 2015. “Modeling Reciprocal Team Cohesion–Performance Relationships, as Impacted by Shared Leadership and Members’ Competence.” Journal of Applied Psychology March 2015100(3): 713-734.
