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リーダーシップ研修は意味がある?現場に繋げるための設計のコツ

素朴な疑問として、リーダーシップ研修には意味があるのでしょうか?


結論から言うと、意味はあります。Lacerenza et al. (2017) は335件の研究論文を統合し分析した結果、リーダーシップ研修は学習面でも現場の実践面でも効果を発揮していること報告しています。

 

ただし、研修の価値を決めるのはその場の満足度ではなく、転移(学んだことを職場で実際に使うこと)を起こせるかどうかです。この記事では、転移を起こすためのコツについて記載します。

 

【この記事で分かること】

研修に意味はあるのか?研究から分かった効果を生む条件

Lacerenza et al. (2017) の報告では、リーダーシップ研修は参加者の反応(研修満足度)・学習(内容の理解)・転移(職場で実際に使えているかどうか)・結果(組織成果に繋がっているかどうか)の全てのレベルで効果があり、全体として中~大程度の効果量が示唆されています。


つまり「研修は意味がない」という俗説より、現実はずっと前向きなものでした。

ただし、効果を最大化する条件も示されています。たとえば、下記のような条件を含むことがより効果的な研修に繋がる可能性が示唆されています。

  • 事前のニーズ分析に基づく設計

  • 参加者へのフィードバックの組み込み

  • 座学のみならず実践なども含めた複数手法の組み合わせ

  • 間隔を空けた複数回セッション

  • 現場での実施

  • 講師の活用

  • 対面方式

リーダーシップ研修は十分に設計意図を検討することによって、効果的なものとしていくことができるのです。

なぜ現場で活かされない研修となるのか?

上司・同僚・環境が“使う”ことを支援していない

研修の成果は、参加者個人の意思や努力だけで決まるものではありません。参加者が属する現場の周囲支援も、研修で学んだことを行動に繋げるためには重要です。

  • 上司が研修内容を知らず、試すことを評価もしない

  • “いつものやり方”から外れると、暗黙に歓迎されない空気がある

  • 適用されているルールが古いままで、学びが入り込む隙間がない

 

このような状況で「研修で学んだことを実践しよう」と言われても、参加者にとって難しいかもしれません。学びの実践とは、本人の意欲だけでなく、組織からの支援的な環境も必要なのです。

目標が曖昧/行動が具体化されていない

もう一つの典型は、研修が「良い話を聞いた」で終わるパターンです。聞きっぱなしではなく学びを行動に変えるには、「いつ、どの場面で、何をするか」といったことが具体化されている必要があります。

 

実務的には、研修の目標を「学習」ではなく「現場で必要とされること」から逆算することが重要です。具体的には、研修開発にあたって「ステークホルダーは誰か」「どのような成果が求められるか」「優先される成果は何か」を明確にすることがあげられます。

よりよい設計のための実務チェックリスト

ここでは前述の研究知見を簡単なチェックリストに落とし込んでみます。いきなり全部やろうとせず、“詰まり”があるところから手当てしていくのがおすすめです。

 

  • 「研修の目的」を参加者の満足度ではなく現場での行動変容と捉えている。

  • 事前に組織のニーズ分析を行っている。

  • 一方的な講義形式のみにせず、デモンストレーションや実践など複数の手法を組み合わせている。

  • 参加者へのフィードバックが組み込まれている。

  • 研修後に参加者の具体的な行動目標が決まるようになっている。

  • 間隔の空いた複数回セッションになっている。

  • 参加者の上司や周囲が研修に参加する意義を理解している。

  • 現場に近い環境で実施している。

  • 講師を活用している。

  • 対面方式で実施している。

研修だけではなく、組織開発が必要になるときは?

研修設計を整えても、なお転移が起きない場合があります。そのときは個人の学びよりも、環境(組織の慣行や関係性)側がボトルネックになっている可能性が考えられます。

  • 規範や意思決定の構造が古く、学びが入り込まない

  • 権力差や失敗への恐れが強く、試すことがリスクになっている

  • 期待値や評価の前提が変わっておらず、学びが“裏切り”になる

  • 部門間の不信・摩擦が強く、個人の実践が空回りする

 

この場合、必要なのは研修の追加ではなく、対話・意思決定・関係性・学習の循環といった、組織のあり方への介入です。つまり、組織開発(OD)で取り扱われる領域になります。

 

研修の設計だけでなく、組織開発を通じて変化を定着させる全体像は、「組織開発(OD)とは何か?成果が出る進め方と落とし穴」で整理しています。

組織開発(OD)とは何か?成果が出る進め方と落とし穴

ここまで見てきたように、リーダーシップ研修は「学んだことが実際に現場で使われる」ことが起きる設計と運用で成果が決まります。

 

もし「自社の場合、何がボトルネックなのか」「研修をどう改善するといいのか」を整理したい場合は、まずは下記から現状の状況をお聞かせください。

参考文献

  • Lacerenza et al. 2017. “Leadership Training Design, Delivery, and Implementation: A Meta-Analysis.” Journal of Applied Psychology July 2017102(12): 1686-1718.

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