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溝の口/〝街をまるごと、ワクワクする仕事場〟に

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エヌアセット事業企画部 松田志暢さん

『職住近接』。溝の口(高津区)は今、このスタイルを実現しやすい街と言える。この4年間で、地域のコワーキングスペースが2か所から10か所に増えた。先駆けとなったのが、築89年だった洋館をリノベーションしたシェア・レンタルオフィス『ノクチカ』。2017年のオープン以来、利用者が絶えない。

『暮らす人たちのワクワクを大切に』しながら、『街を面白くしたい』――。盛況の背景には、地域密着型の不動産業に従事する、松田志暢さんの志があった。

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溝の口を地盤とする、エヌアセットという不動産会社がある。同社の事業企画部に勤めるのが、2012年に入社した松田さんだ。

松田さんは北海道・知内町の出身。人口4000人ほどの小さな町だ。故郷への思いから、学生時代は地域づくり学科を専攻。このテーマの突破口になり得るとして不動産管理業に関心を寄せ、卒業後にエヌアセットへ入社した。入社前の面接では、「不動産業から街を面白くしたい」と思いを語ったという。それが社の方針と重なっていた。

一通り実務経験を積んだ3年目。社長の後押しを受け、松田さんは街づくりの一環として、街の魅力を発信する事業に専念。これを機に、地域での人脈ができていったという。

溝の口について、「一言ではとても表現できない」と松田さんは言う。「この街には、400年以上も代々住み続けている家系の人がいれば、他地域から転入してくる人も大勢いる。風景も、駅前が再開発されている一方で、大山街道沿いには古き良き街並みが残っています。いい意味で、とても雑多なんです」。


新・旧住民間の交流が生まれにくいという課題がある一方で、雑多だからこそ、街がより活気づく可能性を秘めている――。松田さんはそう感じてきたという。

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レトロな洋館をリノベーション〝暮らす街で働く〟ための場に

街づくりに関わる中で、空き家の相談が数年前からエヌアセットに舞い込むようになった。診療所兼住居として建てられた古い洋館も、その1つ。同社が所有者からこれを借り上げ、新たな活用スキームを組むことになり、松田さんが全面的に関わることになった。

 

再生後の用途は〝働く場〟。街の魅力発信を通じて、「暮らす街で働きたい」という子育て世帯の声をキャッチしていたためだ。レトロな内装を生かしつつ、オフィスに必要な機能・設備を導入。1階はレンタルスペース・共用ラウンジ・コーヒースタンド、2階はレンタルオフィス・コワーキングとした。施設名称のノクチカには、溝の口の愛称「ノクチ」と、「ノクチから発信する」という思いを込めた。また、事業主体として、地域の不動産オーナー達とエヌアセットで構成する会社『のくちのたね』を新たに設立した。

 

こうして、地域のニーズを形にしたノクチカ。とはいえ、2017年当時はベッドタウンにおけるシェアオフィスの実例が少なく、実際にどれほどの需要があるのかは未知だった。ところがふたを開けてみると、同年12月のオープンと同時にノクチカは満室で稼働。キャンセル待ちが出るほどの活況ぶりだったという。

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​1階に入居する「二坪喫茶アベコーヒー」

シェアマーケット『ノクチラボ』開業「出店したい」潜在需要汲む

満室状態が続く中で、利用者のオフィスニーズ自体も広がりを見せた。主なものが、「個室が欲しい」という要望だ。そこで開業1周年を機に、のくちのたねの共同経営者である不動産オーナー、石井秀和さんが所有するワンルームマンションを一部改修。nokutica内に入居する企業「ten株式会社」のプロデュースの元、2階の住戸を個室のレンタルオフィスに、1階部分をシェアマーケット『ノクチラボ』に、それぞれつくり変えた。

シェアマーケットとは文字通り、複数の個店で売り場をシェアする形態。本格的に店を構えるには多額のコストが掛かるが、共有することでその負担を小さくできるため、将来的に店を持ちたい人などにとって出店のハードルが下がる。ノクチラボにはこれまで、飲食や物販などの店舗が出店してきた。期間や頻度を各店舗が自由に設定でき、週1~3回の店や3か月限定の店など様々だという。

ノクチラボは買い物の場でありながら、出店者にとっては仕事場だ。個室オフィスという顕在ニーズだけでなく、出店意向をもつ人々の潜在ニーズも引き出され、職住近接の選択肢が地域に増えた。
 

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​「ノクチラボ」

未利用の庭を『ポケットパーク』に 気軽な来訪促す

ノクチカ自体も進化している。遊休地化していた庭を整備し、屋外スペース『ポケットパーク』として今年4月にオープンした。土日はオフィス利用者に限らず、ノクチカ内のコーヒースタンドの利用客にも開放。これまでノクチカに縁のなかった街の人たちが、気軽に訪れるようになったという。


「『ノクチカをもっとたくさんの人に使ってほしい』と思っていましたが、そのきっかけになりました」(松田さん)。

「昔からこの街に住む人たちが、(自分たちの取り組みを)面白がってくれるようになっています」。松田さんが話す。
ノクチカやノクチラボは、人と人のつながりを生み出す仕掛けとしても、機能し始めている。

単にオフィスを増やしたいのではない。街をまるごと、ワクワクするような仕事場にすることが、松田さんの目標だ。

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屋外スペース『ポケットパーク』

ライター

​フォトグラファー

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鹿島 香子

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小川 麻央

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